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何処となく様子のおかしいククールを、トロデ王とヤンガスに任せて、 エイトは林の中に足を踏み入れゼシカを捜した。 程無くして大樹の下に膝を抱えて座り込むゼシカを見つけ、 エイトはおそるおそる声を掛けた。 「…ゼシカ?」 ピク、と怯えたように細い肩が震えて、涙に濡れた顔が振り返った。 「…エイ、ト…」 しゃくりあげるように名前を呼ぶ声に耐え切れずに、 エイトは小走りでゼシカの前に駆け寄り、その肩を優しく支えるように触れる。 号泣という感じでは無く、 ポロポロと大粒の涙を零しながら静かにゼシカは泣いていた。 「どうしたの、ゼシカ?……ククールと、何か、あった?」 ククールの名前を出すことに躊躇いながらも、顔を覗き込むようにして、 出来るだけ静かな声で問い掛ける。 落ちて来る涙を手の甲で押さえながら、ゼシカが力無く横に首を振った。 「…何でも、ないの。何でも…」 自分に言い聞かせるような声でそう繰り返す様子に、エイトは軽く息を吐いた。 それからゼシカの背中をポン、と軽く叩いて その横に並ぶようにして地面に腰を下ろす。 「…わかったよ。じゃあ、ゼシカが泣き止むまでここにいるから」 柔らかく受け止めてくれるようなその台詞に、ゼシカは一度目を見開いたあと、 堪えきれなくなって嗚咽を零した。 「サーベルト兄さん…」 ゼシカの脳裏に忘れられない面影が過ぎる。 エイトの仕草や態度、言葉はサーベルト兄さんのものと良く似ていて、 時々ふと優しかった兄さんを思い出させる。 こんな時、あの人だったらどう言ってくれただろう。 自分はどうすれば良いのか、何て助言をくれるのだろう。 答えは出る筈も無い。 それでも、サーベルトのことも相俟ってゼシカは声をあげて泣いた。 「ゼシカが走っていっちまいましたが…何かあったでガスか?」 「これ。あまり仲間同士喧嘩しあうでない。 お前もエイトを見習ったらどうじゃ?」 膝を抱えるようにして黙り込む姿を見下ろして、 ヤンガスとトロデ王が好き好きに口にする言葉を、 ククールは黙り込んで聞いていた。 らしくないククールの様子に、二人は言葉を止め怪訝そうに顔を見合わせる。 「さては痴話喧嘩じゃな」 ズバリ、と言いたそうな仕草でトロデ王が短い指でククールを差して言い切る。 その横でヤンガスがその通りと言わんばかりに、無言でうんうん頷いている。 「……痴話喧嘩にもならねえんだよ」 一拍の間を置いて、ククールが力無く答えた後大袈裟に溜め息を零す。 その様子は明らかに落胆した色が含まれていて、 ヤンガスとトロデ王は再度顔を見合わせたあと、同じ方向に首を傾げた。 「何言ってるでやんすか。 何だかんだ言ってゼシカと仲良くやってるでがしょう?」 「そうじゃ、そうじゃ。ゼシカも最近では満更ではない様子ではないか」 息ピッタリな様子で話し掛けて来る二人を、 ククールは追い払うように顔の近くで手を振る。 「気の所為だよ。だいたいあいつは、エイトが好きなんだ」 その言葉に二人同時に驚き、目を見開いたあと顔を見合わせ、 トロデ王が何も言わず自分を指差し、 ヤンガスがそれに頷いて視線をククールに戻した。 「のう、ククール。ゼシカがそう言ったのか?」 トロデ王が小さい身体で一生懸命ククールの顔を覗き込みながら聞く。 「…直接言った訳じゃないけどな。 あの態度見てりゃあ誰だってわかるだろ」 首を振りながら投げ遣りにククールが答える。 その返答にトロデ王は首を傾げた。 「じゃが、わしらが見てる限りではゼシカはお前が好きそうじゃぞ?」 わしら、とトロデ王は横にいるヤンガスを指差し、 ヤンガスもそれに答えるようにコクコクと二度頷く。 「冗談!…オレはちゃんとゼシカに聞いたんだぜ? そしたらあいつ、何も言わずに逃げたんだよ」 先程ゼシカが逃げ込んだ林を指差して、 幾分怒ったような調子でククールは簡単に説明する。 トロデ王は怪訝そうに顔を顰め、助けるを求めるようにヤンガスを見た。 「アッシが思うに、ゼシカの姉ちゃんは恥ずかしかったんじゃないでげすか?」 トロデ王の跡を継ぐようにヤンガスが遠慮がちな口調で言う。 「馬鹿言え。恥ずかしいからって普通逃げるか?」 「逃げるじゃろ。女子なんてそんなもんじゃ。のう?」 同意を求めるようにトロデ王はヤンガスを見て、 ヤンガスもまたそれに頷いて見せた。 「ああ、もう。お前らと話してたら一人で悩んでるのが馬鹿みたいだぜ。 ちょっと行ってくる」 ククールは煩わしそうに手を横に振りながらも、 立ち上がりゼシカの後を追うように林の中へと駆けて行った。 ゼシカの口からしっかりとエイトが好きだと、 オレの気持ちには応えられないと言う返答が聞ければ、 すっぱり諦めも付くだろうと言う僅かな希望を胸に抱いて。 颯爽と林の中に姿を消してしまうククールの後ろ姿を、 満足げに見送ったあと、トロデ王が溜め息と共に呟きを零した。 「はあ…若いもんは羨ましいのう。 わしもあんな初々しい恋がしてみたいわい」 「おっさんはもう年だから無理だと思うでげすが」 「うるさい!お前だって充分なおっさんではないか」 「おっさんにおっさんって言われる筋合いはないでガスよ!」 以下延々と子供じみた仕草や言葉で、 ぎゃーぎゃーと言い合いをする二人とは少し離れた位置、 馬の姿に戻ったミーティアが、微笑ましげに見つめていた。 「……さっき、さ。あいつにいきなり聞かれたのよ。 エイトのことが好きなのか、って。…私、驚いちゃって…だって、あんな、 あいつのあんな真剣な顔、初めて見たし…」 エイトがゼシカを追いかけて林に入ってから数分後、漸く泣き止んだゼシカは、 時折戸惑うように言葉を止めながらも、先程のこと説明していた。 それを頷きながら真剣な表情で聞き入るエイト。 「…あいつ、きっと何か誤解してるのよ。 私がエイトを好きだ、なんて…」 そうでしょう?と同意を求める声を掛けようと顔をあげて、 エイトを見た所でゼシカは言葉に詰まった。 動作に合わせて揺れる髪先を指で弄りながら、顔を僅かに伏せる。 「ごめんなさい。 別にあなたのことが嫌いだって言ってるんじゃないの…寧ろ、私は…」 ゼシカが言葉を切り、恥ずかしそうにエイトを見つめる。 何を言いたいのか察しかねて、 エイトは首を軽く傾げてゼシカを見つめ返した。 その時、遅れてゼシカを追って来たククールが 意図せずに近くの茂みをガサリと揺らした。 ククールの視界には何か言いたげに見つめあう二人の姿が映る。 チクリ、とククールの胸に針で刺されたような痛みが走る。 まさか…と思いながらも、 思わず立ち止まってその様子をジッと眺めてしまう。 「私は、エイトのこと好きよ」 数秒の沈黙のあと、ゼシカは重い口を開いた。 漸く何を言わんとしているかわかったエイトは、表情を緩めて頷きを返す。 「僕もゼシカのことは好きだよ」 その台詞にゼシカの顔も嬉しそうに綻ぶ。 一連の出来事をタイミング悪く見てしまったククールは 絶望した気持ちでその場に立ち竦んだ。 「………失恋決定、じゃねえか…。馬鹿馬鹿しくて、泣けもしねえよ…」 痛む胸を押さえるように胸元の服をギュッと掌の中に握り込んで、 掠れた声で小さく小さく呟く。 「雨でも降れば、良いのに…」 期待を篭めて見あげた空は、それを裏切るように眩しい位の晴天だった。 太陽の光が反射してククールの蒼い瞳に突き刺さる。 泣きそうに顔を歪めて、 ククールは何時までもその場所に一人立ち竦んでいた。 un titled1 un titled3 un titled4
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ククール&ゼシカAA ククール&ゼシカAA 2 指輪のシーン 季節のククゼシ チュープリーズ ククゼシインタビュー 寝惚けゼシカ 説教ククール寝惚けゼシカ続編 ククゼシの予感 ククゼシ結婚式 ククゼシスレはsage進行が鉄則です 危険な武器 2009年は丑年だから… 2010年ですね! ゼシカがククールにさらわれた!主人公達は… 豆まき 窺っていました 妹スキル姉スキル ほんわかカップル エイプリルフール 抱き枕になってください 抱き枕になってください2 ハロウィン! 祝・ドラクエ8 5周年!! ククのバレンタイン計画 ククのホワイトデー計画 草食系男子 パターン1 草食系男子 パターン2 お茶の間の二人 コインおもちゃ
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宿屋。 夜まで休むの時間、ゼシカとククールの二人だけがそこに居た。 二人は机を挟んで呪文書に目を通していた。 おもむろにゼシカが口を開く。 「ククールってさ・・・」 「ん~?」 間の抜けたような声でククールは返事を返す。 ゼシカは次の言葉を言わないまま、じっと雑誌を持ったククールの手を見つめる。 その視線に気付いたククールは、ぱたんと呪文書を閉じ、身を乗り出した。 「何?」 「・・・手、おっきいよね」 「手?」 「うん。だって、ほら」 ゼシカはククールの手をとると、自分の手と合わせた。 「こんなに違うよ?」 ゼシカの指はククールの指の第一関節くらいまでしかなかった。 確かに、ククールの手は大きい。 大きいというか、前まで弓術をしていたせいもあって、指が長いのだ。 手だけ見るとよくサルの手とからかわれ、昔は悩みの種になったものだ・・・ 「あたし、手が大きい人、好きなんだよね」 「・・・ふ~ん」 「あたしの手ってさ。何か不揃いなんだよね。指だけこんなに細くってさ・・・」 「いいじゃねーか。、ゼシカの手、好きだぜ?」 ゼシカがはっとしたように顔を上げる。 そこには頬杖をつきながら柔らかい顔でゼシカを見つめるククールが待っていた。 「そ、そんな・・・冗談やめてよ」 「冗談なんかじゃ、ないぜ?」 そっとゼシカの手をとる。 触れた瞬間、少しびくついた。 ゆっくりと手を撫でながら、指と指の間にそっと指を差し込んだ。 「あ・・・」 ゼシカの呟きも無視して、包み込むようにぎゅっと握る。 少し戸惑いながらも、ゼシカの指が握り返す。 「ゼシカの手、冷たくて気持ちいいぜ・・」 「ククールの手、あったかいね・・」 お互いの手の感触に、しばし意識を任せる。 まるで手から二人の心が伝わってくるようだった。
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633 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2005/12/04(日) 22 17 08 ID 7hVYO94U0 唐突な話題だけど… 料理は苦手なゼシカ設定がイイ。 もちろん得意なのはククールで。 旅の途中で何度か手料理披露するんだけど、 「薬膳料理でゲスか…?」なんて言われたり。 逆にククールはかなりの腕前で称賛をあびちゃったりして。 そこでしぶしぶゼシカも、苦虫かみつぶしながら 料理を教えてもらうんだけど… ゼ「ほんっと手先が器用なのね」 ク「まあ…ね。修道院にいたころから、色々と叩込まれましたから」 ゼ「色々と…」 ク「そ。色々と…。…指先の魔術師、との称号を、いただいたくらいね」 ク「試して…みる?」魅惑の瞳でゼシカをみつめるククール。 わずかに上気するゼシカの頬。 そして。 「すごいじゃない!ぜひ見たいわ!!このキャベツ、その技で千切りしてみてよ!」 興奮してキャベツを取り出すゼシカ。 ク(つ…通じてねえ…!!) 天然小悪魔ぶりを発揮するゼシカに翻弄されるククール…。 あれ?あんまり料理の話題関係なくなっちゃった。一人モエすまん 634 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2005/12/04(日) 22 36 33 ID qNfkMS1N0 633 あるある!メンバーが料理するところって。楽しそうだよねー。 なんせ彼女の家ではコックさんがいたよね。だから当然出来ない。 彼がゼシカに料理を教えてあげたりとかね。 で、教える際にはこの上なく優し~く教えてあげてイチャイチャなのか、それとも 互いに軽口たたきながらちょこっとケンカ風味で作るのか… このあたりの話をまたどなたか職人さんがSS化しないかとつぶやいてみるテスト。 んで新婚となったら当然裸エってうわなんだおまえrやめrくぁwせdrftgyふじこlp;@ 638 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2005/12/05(月) 00 23 02 ID q0AI7T2n0 634 何を!目玉焼きを作って驚かそうとんこっそり早起きして孤軍奮闘する ゼシカは裸にただククールのワイシャ;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン 639 633[sage]2005/12/05(月) 00 27 20 ID +M3AIFmX0 小皿で味見するゼシカ。 その後同じ皿で「かしてみ」とククール。 間接キスに動揺するゼシカ。 その態度に事態を察しゼシカの初な反応にきゅんきゅんなククール。 …て、妄想が厨ですな…。 640 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2005/12/05(月) 08 05 01 ID NHwGaeig0 639 自分もきゅんきゅんしたぞ、その設定。
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「一体何があったんでゲスかねえ…」 不思議な泉の前に、放心したような表情のヤンガスが、 空を見上げてポツリと呟く。 その隣で所在なさげに立っていたトロデ王が声も無く頷いた。 突然何の前触れもなくいなくなったククールとエイトに、 理由も行き先も知る術もない他の四人は、 ただ泉の前で待ち続けるしかなかった。 ミーティアは馬の姿のまま、落ち込んだ様子も露に、 本日何度目かの泉の水を口にちびちびと飲む。 「これミーティア。あまり飲みすぎるのはいかんぞ」 その背を宥めるように撫でながらトロデ王が窘めるものの、 ミーティアは憂いをたたえた表情で、 横に首を振って聞こうともしない。 ゼシカは草むらの上に膝を抱えて座り込み、 心ここにあらずな様子で、ブチブチと身近にある草を、 手許も見ずに引き抜き続けている。 はあ…と誰のものとも付かない溜め息が零れたとき、 不意に泉の入口から草を踏みしめるようにして歩く足音が聞こえ、 咄嗟にヤンガスとトロデ王が振り返り、ミーティアが顔をあげた。 「「ククール!!」」 二人の声が驚きにハモりを響かせてから、 ようやくゼシカがハッと我に返った様子で、 立ち上がるのと同時に振り返った。 ふしぎな泉の入口の方から、 ククールが「悪い悪い」と言いながらバツの悪そうな顔で、 片手を挙げて歩いて来る姿がゼシカの視界に映る。 「ククール!」 二人とは一呼吸以上遅れて叫び、 ゼシカは逸早くククールの許に駆け寄った。 ぶつかりそうになる一歩手前で二人同時に立ち止まり、 涙に潤んだ目でゼシカがククールを見上げる。 「この、バカ!!一体どこに行ってたのよ、 何かわかんないけどエイトも一緒にどっか行っちゃうし、 本当、何かあったのかと思って心配し」 耐え切れずに薄らと涙を浮かべ、大きな声で捲くし立てるゼシカを、 ククールが何も言わずに、遠慮がちに抱き締めた。 突然全身に伝わる温もりに、驚いたゼシカの声が止まる。 「ゼシカ、…ごめん」 申し訳なさそうな声音で、ククールはゼシカの耳元に囁いて、 名残惜しそうに抱き締めていた腕を解いた。 そして何が起こったのか把握出来ずに呆然とした ゼシカの肩に両手を置き、僅かに屈むような体勢で見つめる。 何かを言いかねて躊躇うように、ククールの双眸が左右に揺れる。 「……ごめん……好きだ」 真摯でどことなく申し訳無さそうな表情を浮かべ、 ゼシカを見上げるようにしてククールが短く告げる。 その言葉の意味を、ゼシカは瞬間理解出来ずに眉を顰めた。 「…何が?」 あまりにも間の抜けた返答にガク、とククールの肩が落ちる。 困ったように顔を顰めながらも、 ククールは気を取り直してゼシカの目を見つめ直した。 「ゼシカが…好きなんだよ。誰よりも、何よりも…………愛してる」 囁きかけるような掠れた声音で再度想いを打ち明けながら、 ククールはゼシカの口許を見つめ、目を閉じて顔を寄せた。 徐々に寄せられるククールの顔と、その言葉に、 ようやくゼシカの止まっていた思考回路が元に戻るのと同時に、 首筋から額にかけて一気に赤く染まり始める。 「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、ちょっと待っ」 突然のことに困惑の色を露に、 ゼシカが上擦った声をあげ制止をかけるも、 ククールの動きが止まる様子は無い。 あまりの至近距離が耐え切れずに、ゼシカは目を強く閉じた。 チュッと軽い音が聞こえてゼシカの額に柔らかい感触が伝わる。 「……オレにこういうことされるの、嫌か?ゼシカはエイトが…」 好きか、とククールが問い掛ける間も無く、 唇にキスされるかと思っていたゼシカは、 身を強張らせていた力が一瞬にして抜け、 ずるずるとその場に崩れ落ちて行く。 「お、おいゼシカ!」 慌ててククールがそれを抱きとめるも一瞬遅く、 ゼシカは赤くなった顔を両手で押さえ、 その場に座り込んで俯いてしまう。 「…ゼシカ…?」 ククールがその前に膝を付いて、心配そうに覗き込む。 「…私も…あんたのこと、悔しいけど、 すごく悔しいけど、…ずっと…好き、だったわよ…」 少しの間を置き、俯いたままのゼシカが 今にも消え入りそうな小さな声で呟くように零す。 その言葉にククールは僅かに驚いた表情を見せたあと、 目を薄めて心底安堵したような柔らかい笑みを零し、 「……ありがとう」 と短く耳元に囁きかけて、ゼシカの身体を柔らかく抱き締めた。 「…でも、いきなりこんなことされたら心臓に悪いわよ、 このバカ――――――――――――――!!!」 そんなククールの不意を突くように ゼシカは突然真っ赤に染まった顔をあげると同時に、 勢い良く振り被ってククールの右頬を張り飛ばした。 バチーン!と大きな音があたりに響く。 「ちょ、まっ…何もそんな怒ること」 「怒るに決まってるでしょ!こんなに心配させて、 挙句の果てに私の了解無く変なことまでしようとして!」 叩かれた頬を押さえ、逃げ腰になるククールを、 ゼシカが自分の腰に手を当てて、物凄い剣幕で言い返す。 そんな二人の一連の様子を、少し離れた位置で見守っていた ヤンガスとトロデ王はお互いに顔を見合わせたあと、 「自業自得ですげすな」 「喧嘩をする程仲が良いと言う奴じゃろうな」 と交互に安心半分、呆れ半分で呟きを零し、 やれやれと言った様子で肩を竦めると、再び旅に戻る仕度を始めた。 更にその二人よりも後方に少し離れた位置で、 ルーラでこっそり戻って来た エイトとミーティアが寄り添うように立って、二人の様子を眺めていた。 馬の姿のままのミーティアの長い鬣を優しく撫でたあと、 柔らかく細められたその目を見つめて、エイトは幸せそうに微笑んだ。 un titled1 un titled2 un titled3
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トンネルを抜けるとそこは雪国であったが、情緒もへったくれもあったものではなかった。 吹雪が針の束のようになって容赦なく一行に襲いかかってくる。 ふとククールが振り返ると、すぐ後ろを歩いていたはずのゼシカがはるか彼方で立ち尽くしてしまっていた。 初めて見る雪景色に感動しているなどという風情とは違う。明らかに様子がおかしい。 「ゼシカ?ゼシカ!大丈夫か!?」 駆け寄って叫ぶククールの声にハッとして、ゼシカは頭をぶんぶんと振る。 「ううっ。あまりの寒さに意識が朦朧としてたみたい」 そう答えるとゼシカは両肩に手を当てて震えた。 「リブルアーチに防寒具が売ってれば良かったのに…。何よ、まほうのビキニなんて訳の分からないものを…」 ゼシカがぶつぶつと愚痴を言いながらも歩き出したので、ククールはホッと胸を撫で下ろした。 しかし吹雪は変わらずその勢いを保ち続け、一向におさまる気配はなかった。 こんな状態ではまたいつ何時ゼシカの意識が怪しくなってもおかしくはない。 そう危惧したククールは、今度はゼシカの背を見る位置で歩く事にした。 ゼシカのすくめられた剥き出しの肩が小刻みに震えている。 自前の断熱材に恵まれているあのヤンガスでさえ音を上げている状態だ。 この寒さではさぞかし辛いことだろう。 ククールはそう思い、制服のケープを外して震えるゼシカの肩にそっとあてがった。 「きゃ?!びっくりした!」 予期せぬ出来事だったようで、ゼシカは驚いて振り向く。 「こんなものでも、あれば少しはマシになるだろ?」 「うん、ありがとう。あったかい」 ゼシカは笑みを見せながらケープを受け取り、両手で襟元を合わせた。 「あはは、大きいからすっぽりくるまれちゃうわ」 そう言いながらゼシカはククールの前でくるりと身体を回らせてみせた………… (……ってな感じの筋書きだったんだけどなぁ…) ククールはベッドに腰掛け、ゆっくりと海より深いため息をついた。 苦々しい表情で毛布を握り締める。 「雪崩の…ばっかやろう!」 そのまま背後に倒れ、ボフッと音を立ててベッドに大の字に横たわった。 「…ククール?」 奥のベッドに寝かされていたゼシカが起き上がって部屋の様子を伺う。 「雪崩がばかやろうなのは賛成だけど、みんな助かったみたいだし、いいんじゃない?」 「よくねぇんだよ…」 「なんで?」 歩み寄ってきたゼシカはベッドの上に大の字になったままのククールを覗き込む。 「いや、こっちの話さ」 「なによそれ?わけわかんない」 やや呆れ顔になったゼシカの大きな瞳を見つめながらククールはにやりと笑い、起き上がった。 ~ 終 ~
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「なぁ、ゼシカ。オレたちさ、パーティ組んでからあれだけいろんなコト話したのに まだ一回も使ってないコトバがあるのに気づいてたか?」 ゼシカはオレの手を取って起き上がるとベッドからおりて、オレと向かい合う。 「ホントに短い言葉だけど、でもきっと…すごくドキドキするって思うんだ」 オレは下を向いて考え込んでしまったゼシカに、ヒントを出してみる。 「あっ」 今のヒントでわかってくれたのか、顔を上げたゼシカはうれしそうに笑った。 「…そっか。ホント、あんなにたくさん話したのに…まだ一度も、言ってなかったんだね」 思い出し笑いするみたいに、くすっと小さく笑って。 「どきどきしてきたかな?」 「うん。してきたみたい」 手を上げかけたゼシカよりも一瞬早く、オレは彼女の左胸に自分の右手をあてる。 「…ホントだ」 深く息を吸い込んだゼシカの胸がふくらむと、オレの右手もそれに合わせて押し戻される。 深く息を吐いたゼシカの胸がへっこむと、オレの右手も向こう側へ吸い込まれる。 「ククールだって」 オレの左胸に自分の右手をあてて、ゼシカが言った。 右手に感じるこの音は、自分の鼓動なのかそれともゼシカのモノなのかはわからなかったが… そんなコトは、どっちでもいいような気がしていた。 だってオレたちの胸は今、きっと同じ速さで鼓動しているはずだから。 そうだよな?ゼシカ。 オレたちはまっすぐ見つめ合って、大きく深呼吸する。 ずっと言いたくて、ずっと言えなかった、魔法の呪文を唱えるために。 「ゼシカ」 「ククール」 二人で終わらせよう。 そして、二人で始めるんだ。 『 好 き 』
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雑談スレ13-17の関連SS ゼシカはきょとんとしている。 思わず口走った己の言動を反芻して頭を抱えたくなったククールをよそに、 ふいにゼシカはツイと目線を下に逸らした。 「…いいよ…そんなこと言わないで」 その悲しげな表情。 「だって男の人って…そうなんでしょ?……………………な、中に…したいんでしょ?」 徐々に赤らんでいく頬に、性懲りもなく再び反応しそうになるククールの下半身。 「その方が好きなんでしょ?…な、ナマ、とか、そういうの…」 「あーーーーーっっ!!!!!!!もういいわかったゼシカオレが悪かった!!」 恥ずかしさのあまりどんどん声をひそませていく小さな体を、ククールは思わず抱き締めた。 「わざとじゃねぇんだ、マジで。ゼシカのこと大事にしたいのに、さっきは歯止めがきかなかった。 マジごめん。だからお前がそんな気を使う必要なんてねぇから」 つけてないのをわかっていたくせにせめて外どころか思い切り中に出してしまった自分が、 今さらながらに情けなくて涙が出そうだ。 それなのにゼシカの方が、声をつまらせて泣きそうに言う。 「…だって…私、なんにもできないから…ククールは慣れてるから…きっと… つまんないよね?私、ほんとに、なんにも知らないし、なんにもできないから…」 ―――――そも。 大事な目的をもって旅をしている最中に、理性が崩壊して手を出してしまったのは自分なわけで。 ゼシカの方も受け入れてくれたからよかったものの、その時点で二度と触れることさえ 許されなくなってもおかしくなかったのだ。 しかもある程度の反省も口先だけで、それ以降なんだかんだと言いながらも彼女が自分を 受け入れてくれるものだから、何度となく…わりと強引にヤってしまったことは否定できない。 それはひとえに若さゆえで。 それ以上に、どうしようもなくゼシカが好きで。 こんな自分の抑えきれない愛情と欲望を、必死で受け止めようとしてくれる彼女が愛しくて。 気付けば彼女の優しさに甘え、ただ自分の心と体が満たされていくことだけに捉われていた。 ゼシカはこんなにもオレとのセックスに応えようと悩んでいてくれたのに。 (しかも悩んだ結果が、生&中出しOKなんて…あり得ないぜ…ゼシカ) こんなにウブで純粋で純情なコに、なんつう危険な爆弾発言をさせてるんだオレは。最低。 「あぁもう…ホント、すいませんでした」 謝るしかなかった。 「だから頼むから、そんなのが愛情表現だなんて勘違いしないでくれよ。そんなのゼシカ自身を 犠牲にしてるだけだろ?そんなことじゃねぇよ、オレが求めてるのは…。 …………ゼシカがいてくれるだけでいいんだ。こうして時々抱きしめ合えればそれでいいんだ」 「だって…いつもいつも、私、してもらうばっかりじゃない…私ばっかり、いつも…」 体を離して、口ごもってしまったゼシカの顔をのぞきこむと、今度こそ顔をトマトのようにしている。 簡単に言葉の先が思いついたククールは、思わずニヤけた。 「…自分ばっかりキモチイイ思いしてるって?」 耳元で囁くと、ゼシカはギュッと目をつぶってククールの腕の中で身を縮こませた。 「そんなわけねぇじゃん。ゼシカが気持ちいい時は、オレもそれ以上に気持ちいいんだぜ?」 「……ホント?」 「教えてやろうか?」 「い…いいっ!」 シーツで隠されている彼女の胸にわざと卑猥な手つきで触れようとすると、 すぐさま身をひるがえして背中を向けてしまった。あまりの可愛さにクスリと笑みがこぼれる。 下ろされている髪の毛が、首筋で分かれてうなじを垣間見せている。 前ばかり隠すことに必死で、後ろ姿は何ひとつその美しい体を隠すものはない。 ククールが吸い寄せられるように肩に口づけると、ゼシカがそっと振り返った。 「――-わたし、ククールに返せてる?」 「溢れるくらい」 甘噛みするように歯を立てると、ゼシカの顔が切なげに歪められる。 「…ねぇ、アレって、本気?」 「あれ?」 「お嫁さんにって」 自分で言った途端、ゼシカが吹き出した。 ククールはいい雰囲気に持ち込んだところを邪魔されて、大変不機嫌に顔を上げた。 「本気だよ。冗談でも言わねぇよそんなこと。もしさっきので取り返しつかないことになってたら、 お前が嫌がったって責任取るからな。覚えとけよ」 「!ヤ、ちょ…ッ、ア…」 肩から首筋に移った唇と、素早く背後からもぐりこんだ手の平が全身をまさぐりはじめて、 ゼシカはそれに答えることができなかった。 またもいささか強引にコトに及んでしまったククールだが、今度はちゃんと付けることを忘れなかった。
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ククゼシ移り変わり妄想2が発展した話 「お前を…お前らを信用してないわけじゃねぇよ…これでも、オレの中では随分許してる方なんだ。 ………正直言うと、もっと曝して、頼って、完全に寄りかかってしまいたいって思ってるのもホントだ。 でも………ダメなんだ。オレ、怖いんだよ。ビビってるんだ。だからダメなんだよ」 「……………バカ!!!! それのどこが信用してるっていうのよ!!全然信じてくれてないじゃない!! 私のククールを想う気持ち、全然信じてないからそんな風に思うんじゃない!!」 ククールは耐えきれずに叫んだ。 「……っオレはゼシカじゃなくて、オレ自身が信用できないんだよ!!」 「だから何よ!!!!!!!!!!!!!」 ずっと言いたくてでもどうしても言えなかった本音を思わず吐露してしまったのに、 それを意にも介さず間髪入れずに怒鳴り返してきた彼女に一瞬あっけにとられた。 興奮状態のゼシカの瞳からボロリと涙がこぼれるのを見て慌てる。 「おい、泣…」 「あんたのことなんてもうわかってるわ。あんたが思ってる以上にわかってる。 きっとあんたよりあんたのことわかってる。自惚れでもいいわ、私はそう思ってるのよ。 だから今さら突き放したり、信じられなくなったりなんてしない。独りになんてしないわ」 「………ゼシカ」 「怖い?私が離れていくかもしれないから?だから最後は自分の中に籠もってしまうの? そうやっていつから心を凍らせてるの?ずっとそうやって…こごえていたの?」 「……………。」 「たった一人で」 ゼシカの顔がくしゃくしゃに歪む。 なんで泣くんだ、意味がわかんねぇよゼシカ。なんでオレなんかのために。 ………ちがう。 泣いてるのはオレだ。 「悔しい…っ」 ゼシカが消え入りそうな声で呟く。 「なんで私、もっと早く…っククールに出会えなかったんだろう………」 「…………ゼシカ」 「なんでもっと早く、ククールの心、溶かしてあげられなかったんだろう………!」 たまらずククールはゼシカを抱きしめた。 「………なぁ、ゼシカ。もっかい言って」 「え…?」 「オレが、オレとゼシカをまた信じられなくなっちまう前に…お願いだからもっかい聞かせて」 「………………。」 耳元で囁かれるその声は、泣いているように聞こえる。 ねぇククール、泣いてるの?もう泣かなくていいのよ、だって 「…………ククールを独りになんてしないわ。ぜったい」 壊れそうなほど強く強く抱きしめられ、壊れそうな彼の広い背中を優しく撫でながら、ゼシカは思った。 私が炎の魔法を憶えたのは、全てこの人に出会うためだったのかもしれないーーーと。
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それは、酒場での夕食どきのこと。 「…あ。………………コレきらい…」 お皿をフォークでつついていたゼシカが、急激に不機嫌になって呟いた。 隣に座っているククールがのぞきこみ、 「カリフラワー?何お前、そんなの嫌いなの」 「おいしくないんだもん」 「うまいじゃん。てかゼシカ、ブロッコリーは喰えたよな?ならこれも喰えるだろ」 「ぜんっぜんちがうわよ!とにかくヤダ食べられない。ククール食べて」 「しゃーねぇなぁ、子供かよ」 そんなことを言いながら「あ」と口を開いたククールの口に、ゼシカは当たり前のように カリフラワーを突き刺したフォークを突っ込んだりする。 目の前でその光景を見(せつけられ)ているエイトとヤンガスは、脱力したようにハハハ…と 乾いた笑いをこぼし視線をかわすのだが、同席者の微妙な雰囲気にはまったく気付かない2人。 「………ゼシカ」 しばらくして、ふいにククールが悪ふざけを思いついた時の声でゼシカを呼んだ。 「なに……ンむ!」 振り向きざまのゼシカの開いた口に、今度はククールが素早くフォークを突っ込んだ。 テーブルに肩肘をついて楽しそうにニヤニヤしながら、思い切り眉をしかめるゼシカを見ている。 困惑したまま口に入れられたものをモグモグと咀嚼して飲み込んだゼシカは、 やっと大きな声でククールにくってかかった。 「ちょっと!!何するのよいきなり!!」 「オレもきらいなものおすそわけ~~」 「…かっこつけてるくせにニンジンが食べられないの?」 ゼシカがじっとりとした目で、飄々としているククールをにらむ。 「だっておいしくないもん」 「まったく、子供みたいなんだから…」 わざとらしくため息をはきつつ、もう一度差し出されたニンジン付きフォークをパクリとくわえるゼシカ。 遠い目をしてナカイイネーと笑っていたエイトが、いっそ開き直って言ってみる。 「………ゼシカがあーんしてあげたら、ククール食べるんじゃない?」 その瞬間の、ゼシカの反応ときたら。 「だ…っ、誰がこんなバカにそんなことっっ!!!!やめてよねエイトッッ!!!!」 派手な音立てて椅子から立ち上がって、たちまち顔を赤くしている。 「おっそれいい案だなエイト!オレ、ゼシカちゃんが食べさせてくれるんならなんだって食べちゃうぜ~♪」 ククールまでニヤけヅラ下げてそんなアホな発言をするものだから、今度こそエイトもヤンガスも、 早くこの場をお開きにするため、ひたすら食べることに専念するしかなかった。 再び痴話ゲンカと言う名のじゃれあいをはじめる2人。 関わるとなんとなく損した気になるから、もう放っておこう。